名演!喬太郎「ハワイの雪」

今日は晩の6時半から千日前のワッハ上方にて柳家喬太郎笑福亭三喬2人会。
さて、前座代わりに桂吉之丞くんの「米揚げ笊」、マクラのくすぐりでは多少笑わせるものの、全体的に静かな高座でした。セリフとか声の大きさにもっとメリハリがつくといいように思いますね。いかにも前座らしい高座でした。
お目当ての喬太郎、「猫久」マクラからかなり来ます。今日はCSの収録も同時にあったんですが、うまくネタに使って。肝心の話ですが、やはりうまい。それぞれの人間の演じ方が堂に行ってますな。また、相変わらず古典を喬太郎流に崩す、この手法も見事としか言いようがないですよ。緩急もうまくつけて、笑いどおしの高座でした。
そして笑福亭三喬、「住吉駕篭」上方落語食わず嫌いの蔵松敷兵ヱですが、それなりには面白い。じゃけど、ループがあるんですよね、この噺、同じ繰り返しからの笑い。どんどん噺が展開していくのが好きな私としてはちょっとあれかな、と。また、これは三喬師ではなくて上方古典落語全般に言えることですが、ギャグがえげつないんですわな。そういうところは苦手ですね。でも、お金出して聞くだけの芸ではあります。
仲入りでまた三喬、「子盗人」江戸落語で言うところの「穴どろ」ですわね。もうちょっとすっきり出来るところもあろうけど、秀逸でしたよ。泥棒が赤ん坊をあやすところなんてのはなかなかのもので。
さあ、トリはお目当ての喬太郎、「ハワイの雪」これがですね、本当に空前絶後の出来でした。私が今まで落語を聞いてきてこれほど感動した噺はありませんですよ。前半、というよりもサゲの直前までずっと笑いをとりっぱぱなしなんですよ。ドッカンドッカン受けて。爆笑落語で、このまま笑いを取って落ちでまた笑わせて終わるんじゃないかと思えどもさにあらず。
それがですよ、サゲの直前。照明も落として一気に人情噺風になる。これがまたうまくてね、泣きに持っていくわけですよ。それも、円楽みたいにお涙頂戴を前面に押し出すわけじゃない。筋立てとして上手に持ってくんですよ。後5分、話が長かったら私も落涙しちょったかも知れん。少なくとも終わった時点で目は赤くなッちょったんじゃないかとは思います。
あれだけ笑わせながら同時に泣きにも持っていける、喬太郎おそるべしですよ。まだ40代半ばくらいで若いですし、成長していくでしょうし、すぐに川の向こうに行くという心配もないし、ことによると名人の領域も、ですかね。
感動の落語会、本当によござんした。