テンポが速すぎるか?

先ほどやっていた、有頂天ホテルを見ました。三谷喜劇ですわね。存外楽しめました。楽しめましたが引っかかるものが無きにしも非ず。
まず序盤の台詞のテンポ、というか間が詰まりすぎている点です。一人が台詞を言い終わると待ってましたとばかりに矢継ぎ早に次の人が台詞を言う。テンポのいい場面を撮る場合には確かに有効な手段ですが、序盤にあまりに多用されすぎていたように思います。そのため、始めのあたりが掛け合いくさくなってしまっているように感じます。
あまり挙げてもあれですのでもう1つだけ。皆が皆ハッピーエンドというのも少し芸に欠けるかな、と。誰か一人くらい喜劇的なバッドとまでは行かないにしてもアンハッピーエンドくらいにしてもよかったのではないかと思われます。
あと、これはこの作品に限らず最近の喜劇一般に言えますが舞台になる背景が特殊すぎるということです。今回でも一つのホテルに悪徳代議士はいる、大演歌歌手はいる、偉い学者はいると通常では作為がなければありえない状況であります。で、私が望む喜劇というのは日常の中での笑いなのです。『男はつらいよ』もまだテキ屋の寅さんという特殊状況ですが本作品よりもよほど身近です。もっといえば東宝のサラリーマン喜劇なんてのがごく日常的で一般人にとってもより身近になるのです。そういう喜劇が観たいなあ、と。
あ、そうでした。あのお嬢さんが出ていましたね。そう、松あきらもとい松たか子。もっとも、年上に向かってお嬢さんでもありませんが。
それでパッと画面に出てきたとき「ああ、松本幸四郎の孫じゃのう」。
先代幸四郎の孫ですからね、確かに間違ってはいないのですが、そういう発想でいいのでありましょうかな。年寄りの発想法ですわえ。