金さん

久しぶりに時代劇の話題です。松平健の遠山の金さん。突っ込みどころ満載の作品です。今日はお白州の場面を。
まずですね、奉行の金さんが「岡っ引」という言葉を使う。こりゃまずいですね。あれは庶民が蔑んでいう言葉ですからね、奉行が使う言葉ではない。正式には「小者」、せめて「目明し」くらいには言って欲しいものですね。
で、なぞの男金さんが話題に上ると金貸しが「もうお開きにしましょうや」なんてことを言う。これはさすがに分をわきまえぬ行為というやつですよ。お奉行がそのまま聞き流してはいかん。「町人の分際で差し出がましいことを申すな!」などと叱りつける台詞が欲しいですね。
あとこれは私の好みですが、桜の彫り物、もっと散った方が好きですね。ああいう桜の花がぽっぽっ、とあるよりも花びらがサーッと流れている方がいいんですよ。これは一個人の好みですが。
それにしても遠山の金さんには日本の変装系ドラマのひとつの特徴があるんですよ。多羅尾伴内なんかも同類ですけどね。いわゆる、「いちいち聞かんでも、同じ顔なんじゃから見りゃわかろうが」という系統です。一目見てバレる変装なのに不思議と作中ではバレないというやつです。これね、聞いた話ですがアメリカなんかだと通用しないんですって。向こうの変装ものは作中でも本当に別人がやったりして、リアリズムなんですね。多羅尾伴内みたいにどっからどう見ても、どの顔を見ても片岡千恵蔵そのまんまというのはいかんと。
日本人は黒子をその場にいないものだと思って芝居を見ることができる、そういう面では想像力の発達した民族ですから、こういう技が使えるわけですね。想像力は大事な力、日本人はそういう力に長けた民族であると思いましょうや。
ね、皆さん。