黒船

妙な映画ですね。ハリウッド製、昭和34年の作品です。
時は幕末の日本、総領事ハリスと唐人お吉のお話です。が、当時ですから役者さんがほとんど向こうの人なんですね。といっても西洋人(の見かけ)がやるのはハリスとその通訳の2人だけ。他は全部東洋人の皆さんです。それで、その人たちが侍やら村人やらを演じているのですが、多分日系2世とか中国人とかそういう人を日本人役として使っているのですね。ですから、顔つきもさることながら、日本語の発音に外国人なまりがありますわね。髷を乗っけたお侍が、その日本語で喋るんですからね、吹き出しますよ。
また、時代考証や舞台設定、ロケ地選択も結構いい加減です。何しろ江戸の入り口に門がありまして、そこに仁王様がいるのです。よく見ればそれは奈良の東大寺の南大門です。奥のほうには大仏殿まで見えます。また、江戸城として映されているのがまごうかたなき二条城。アメリカではあれで通用するでしょうが、日本に持ってくれば物笑いの種です。
しかし、随所突っ込みどころがあるにしても、ストーリーとしてはまあいいのでは、というところ。ハリウッドの洋画として話を楽しむも良し、変な時代劇と見てくすくす笑うも良し、奇妙な作品でした。