柳家版お神酒徳利

柳家権太楼師匠のお神酒徳利です。この噺はいろんな人がやってる噺であります。何十年前の話ですが、名人・三遊亭円生師が天皇陛下の前でやったということで有名でもあります。
お神酒徳利という話は流派によって内容が違いまして、今回のお神酒徳利は円生師がやった「三遊派・お神酒徳利」でなく、いわば「柳派・お神酒徳利」です。この大きな違いというとやはり、主人公の職業でしょうか。三遊派だと、商家の番頭さんで、自分の店のお神酒徳利を不注意で失くしてしまって、それを思い出しまして、易を立てるふりをして見つけるというかたち。柳派では魚屋さんでして、商家の女中に断られた腹いせに徳利を隠しまして、困っている旦那のところへ出て行って、易のふりで見つけます。
全体的に柳派のほうが軽めの感じです。主人公の話し方も魚屋というだけあってべらんめえですし。
同じ話でも流派によって全く違ってくる、落語の歴史を感じさせるものであります。

柳家権太楼 名演集3 佃祭/お神酒徳利