杉村春子

昨日と同じくNHKでございます。今日は3本、「欲望という名の電車」「怪談・牡丹灯篭」と「続・二号」であります。
欲望という名の電車」は翻訳ものでありまして、私としてはあまり得意な分野ではありません。それに、この舞台に関しては他のことをやりながら見ていたもので、言及はやめておきます。
牡丹灯篭」は明治期の噺家である三遊亭円朝の原作でして、怪談話であります。この舞台の見所はと申しますと、やはり主役杉村春子の三変化でありましょう。すなわち幽霊・お米、伴蔵の妻・お峰、ラストシーンに出てくる老人の妻の役の三つです。上手いものですよ。なんですかね、あれは。発声ですかね。それと雰囲気作り。そういったところから醸し出されてくるものがよろしいんでございますね。
また、相手役・伴蔵の北村和夫。やはり舞台の俳優ですね。北村和夫の演技はテレビや映画で見ると妙な違和感があるのですが、やはり舞台だと全く感じられません。むしろ、これこそ舞台の演じ方だ、というように全体が引き締まってまいります。
さて、「続・二号」これは喜劇です。舞台は結婚式場の控え室。セット(という言い方でいいのか?)もそれっきり。杉村春子の役どころは新郎の祖母でありまして、孫のことを心配するおばあちゃんですね。
これは喜劇であると同時に風刺劇でありまして、解説によると当時の結婚式の派手さやもっと深いところでは体面ばかりを気にする大人の姿でありましょうか、そういったものを風刺しております。
というところで3作品を見た、ということでございますが今日ほどじっくりと舞台作品を見たのは初めてでした。やはり、舞台上という空間の制約があるためか、広く動きのある映画とは違い、どちらかというと静の芝居である、という印象を受けました。かといってこじんまりとしているというわけではなく、限りがあるということを感じさせぬように、こう上手くつくってあるものだと思った次第であります。
昨日も書きましたがこういった名舞台をテレビに流してくれるNHK、本当に良いテレビ局ですね。